ショウガ科の多年草で、その果実がスパイスとして流通しています。
グリーンカルダモンとブラウンカルダモンの2種類があり、その香りによって使い分けられています。

グリーンカルダモン(または漂白された時はホワイトカルダモン)は、ショウズク (Elettaria cardamomum)に由来し、インドからマレーシアに分布しています。
香辛料として用いられることが多く、咀嚼剤(医学用途)、またタバコのように煙を吸うこともあるといいます。
グリーンカルダモンは重量あたりで最も高価な香辛料の一つですが、スパイスとしてはほんの少量の利用で十分です。
実がまだ緑色で固いうちに収穫して乾燥させて、つやつやした実をしわの入った状態にします。
この鞘をむくと、中に黒または茶色のごま粒大の種子が入っています。
鞘から取り出された種子、それを引いてパウダーにしたものはすぐに香りを失ってしまうため、鞘の状態で保存するのが良いとされていますが、鞘と種子を一緒にすり潰すと品質と価格の両方が低下するとされます。
清涼感のある芳香(甘くエキゾチックで、わずかに刺激性のある強い香り)を持ち、香りの王様・スパイスの女王と呼ばれます。
ピリッとした辛みとほろ苦さをもっていて、独特の風味は、フランス料理というよりエスニック料理向きともいわれます。
サフラン、バニラなどに次いで高価なスパイスでもあります。
漂白したグリーンカルダモンとは異なり、ホワイトカルダモンとしばしば呼ばれているカルダモンは、実際にはシャムカルダモン Amomum krervanhで、グリ-ンカルダモンとは別物です。

ブラウンカルダモン(ブラックカルダモン、ラージカルダモン、グレイターカルダモン、ロンガーカルダモン、ネパールカルダモンともいう)は東ヒマラヤ原産で、大半は東ネパール、シッキム州(インド)、インドの西ベンガル州ダージリン地方の一部、南ブータンで栽培されています。
こちらのカルダモンは強く、特有の味と、非常に強い好ましい樹脂性の香りを持つとされ、ブラックカルダモンは明らかによりスモーキーな(しかし苦くはない)香りと、ミントに類似しているとも言われる爽やかさを持っています。
どちらのカルダモンも、料理によっては、さやごと使うこともありますが、中の種子を出して、つぶすなどして使うことが多いスパイスです。
ガラムマサラなどの混合香味料やカレー料理にはかかせないスパイスのひとつで、ニンニクや肉料理の匂い消しや、またクローブ、ジンジャー、シナモンと同じく菓子、パン・デピスの風味付けにおすすめなスパイスです。
インドのお茶「チャイ」にも使用され、山椒の代わりにウナギのかば焼きにかけてもおいしいそうです。
鞘や種子を煮出した湯を使って風味付けした「カルダモンコーヒー」はサウジアラビアなど中近東ではおもてなしに出される飲みものだそうです。
芳香性健胃効果があり、消化を助けてくれます。
また、油分を除く効果もあるので、食後の口直しとして香りのデザートにも適しています。
北欧などでは、アルコール臭を消すためにカルダモンを噛む風習もあるそうです。
香りをかぐと、脳の血流が3%改善されるとの研究結果もあります。